時折涼しさを感じさせる風が吹き始めたかと思えば、また暑さがぶり返し。
まだまだ、大人であっても体調不良を感じずにはいられないこのごろです。
できれば悲しいこと、辛いことは避けたいのですが、そんな中でも私達の日常は瞬く間に過ぎていきます。
さて、辛いことの一つに心身の不調がありますが、これは日常生活と直結するため深刻な悩みです。考えてみれば指のかすり傷ひとつとってもヒリヒリと痛みますし気になります。ましてや頭痛、腹痛、腰痛など続く場合、或は怠さが続いたり、何故か気分がどうしようもなく落ち込む状態が長く続く時、それらの症状が原因不明だと言われたり処方してもらった薬の効き目がないと、このままずっと続くのではないか、自分は一体この先どうなってしまうのかと不安になりますよね。特に幾つかの症状が重複している場合は尚更です。身近な人にその辛さを理解してもらえない場合は自暴自棄になってしまうこともあるかも知れません。
そんな或日、さまざまな体調不良が続き、心身ともに不安を抱えた10代の女性の方(仮にAさんとします)がお母様の付き添いのもと来室されました。お母様からご連絡をいただいた時から我が子の状態を心から案じている様子が伝わってきたので、施術を受けて少しでも笑顔で帰って頂きたいという気持ちでお迎えしました。
まず詳しくお話を伺うと、Aさんは頭痛から始まり消化器系の不調、心の不調と幾つかの重複した痛みや症状に悩まされているということでした。長期に渡り病院での治療を受けているものの症状が改善しないために学校も休みがちになり、精神的にも不安定な状態が続いていることから施術の申し込みをされたそうです。
お母様が体調不良に至るまでの経緯をお話しして下さっている間、隣に座っているAさんの様子を見ると表情は硬く不安げです。しかし施術を受けることをAさん自身が納得して来室したということでしたので、今の状態から抜け出したい、元気になって元の生活に戻りたいというAさんの気持ちを大切にしたいと思いました。どんなことをされるのか、言われるのか、きっと不安に思いながらもこうして来室されたのですから。
さて、いよいよ施術開始です。
おそらく多くの方は、施術だとわかっていても初めて顔を合わせた相手に自分の身体に触れられるのは多少なりとも抵抗があるかと思います。それだけに謙虚な気持ちで誠意を持って施術させていただくのですが、Aさんの素直な人柄もあって施術はスムーズに進みました。
施術を始めてしばらくすると緊張して硬かったAさんの身体がほぐれ、柔らかく温かくなっていくのが掌を通して伝わってきます。そして青白かった顔に赤みがさしてきました。
更に施術を進めると、ほとんど表情の無かったAさんにほんのりと笑顔が見え始めました。私に気を使っているのかな?と思いましたが、体調の悪い時に笑顔は作れません。Aさんにとって、そしてご家族にとっても今は辛い状況だけど、かすかな希望の光、例えば暗く長いトンネルの向こう側にポッと明るい出口を確認したような感覚を覚えました。
その後もAさん自身の心や身体の持つ本来の力、生命力に呼びかけるように施術を行いました。施術に対して拒絶したり疑ったりすることもなく委ねてくれたおかげでAさんの身体がほぐれて伸びやかになり、体幹がしっかりしました。身体の内部は覗くことができませんが目力が出て顔つきが引き締まりました。笑顔もいいです。おそらく活力が湧いてきたのではないでしょうか。身体がしっかりしてくれば心にも余裕が生まれ、物事を前向きに捉えられます。
もともとの状態が決して軽いとは言えない状態でしたので、おそらくあと数回施術を受けると体調は安定してくるのではと感じましたが、残念なことに居住地が遠いため頻繁に通えない事情もあり、このまま元気になって日常を取り戻せますようにとお二人の後ろ姿を見送りました。
もう一つ、Aさんの場合は霊障も受けていたため祭祀も行いました。同時にAさんには神様からのお言葉もあり、本人に直接伝えることができました。そのお言葉をどう受けとるか、あとはAさんに委ねられます。どうか元気で前に進んで行けますように、そう願っています。
コメント