不思議な猫の話~異世界・異界に迷い込んだら・・

我が家の庭で野良猫を見かけるようになって二年が経ちました。小さな庭ではありますが、季節によっては木陰ができたり草花も咲いているので、猫達が通りがかりに、ふらりと寄って遊んだり隠れたり、小動物の狩りをするのにちょうどよかったのかも知れません。

それまで生き物に対してそれほど深い関心の無かった私ですが、猫を間近で見るようになったことで、同じ猫でもその日によって来たり来なかったり、常連さんのような子がいれば初めて見る子もいたり、又、猫にもそれぞれ性格の違いがあって、のんびりした子もいれば気の荒い子もいて、人間と同じくそれぞれに違いがあることに気がつきました。また、最初の頃は乱暴な子に対してあまりいい感情を持てなかったのですが、野良猫達のことが少しわかってくると私の気持ちも変化し、次第に情が湧いてきました。

そして月日が流れ、庭にやって来る野良猫達を見ることが日常生活の一部になると、自分の飼い猫ではないものの、しばらく見かけないと「どうしてるかな~?」と心配になり、何度も庭を覗きたくなりますし、ある日ひょっこり姿を見せると「あぁ、無事だったんだ!」とホッとしました。こうしていつの間にか野良猫達の存在が私の生活の中で何にも替えがたい大きなものとなっていたのです。

そんなある日、野良猫達のねぐらが気になっていた私は、日課の早朝ウォーキングに出かける夫に、猫達がどこに居るのか探してきて、と頼みました。しかし、夫が言うには散歩途中に野良猫に遭遇することは滅多になく、ひと月に一匹か二匹。しかも我が家に来る猫を見かけたことはほとんどないそうです。なのでその日も期待せずにいたのですが、、なんと予想外のことが起きたのです。朝食準備をしている私のスマホに夫から写真が送られてきて、見ると猫がたくさん写っているではありませんか!その中には、生まれてまだ数ヶ月と思われるかわいい子猫兄弟もいました。

しばらくして散歩から帰宅した夫は、数えきれないくらいのたくさんの猫を見たこと、あんなにたくさんの野良猫を見たのは初めてだったこと、目撃した一帯に猫達のねぐらがあるに違いないこと、を興奮気味に話してくれました。

私は、かわいい子猫兄弟に早く会いたいと、はやる気持ちを抑えきれずに猫を見つけた場所や状況を詳しく尋ねました。そこは我が家から離れた場所ではなく、歩いて数分という意外に近いエリアでした。いきなりまず三匹、それだけでも充分珍しいのに、次から次へと何処からともなく野良猫が現れたそうです。そして道路の突き当たりの空地にも、これもまたたくさんの猫が歩いていたり横たわっていたそうです。数にしたら10匹以上、とにかくたくさんいて数えきれなかったようです。

その後、界隈を一回りして帰ってきたとのことですが、不思議なことに、そのほんのわずか数分の間に一匹残らず猫はいなくなっていたそうです。そんなことがあるのかなと思いましたが、実際そうだったと言うので信じるしかありません。

話を聞きながら私もテンションが高くなりましたが、一カ所に猫がこんなに集まるものかと、そこにも少し違和感を感じました。それでも念願叶って猫のねぐらがわかったので、その違和感を封印し、家事が終わったら自分も行ってみようとワクワクしていました。

さて出勤する夫を見送り、さぁ、いよいよ可愛い猫達に会える♪と胸を躍らせて現地に向かった私ですが、静かな住宅街の木の陰や古い建物の床下、家と家との隙間、側溝、神社の草陰、、どこかに一匹くらいはいるだろうと探し回ったものの、いくら探しても一匹も見つけられません。数えきれないほど居たのなら、せめて一匹くらいその辺で遊んでいても良さそうでしたが、ついに見かけることはありませんでした。

行きのテンションは何処へやら、沈んだ気持ちで帰宅しドアを開けて家の中に入ると、突然、強烈な頭痛と猛烈な怠さに動けなくなってしまいました。しかも吐き気もするような酷い頭痛です。ドアを開けるまで普通に歩いていたのに、立っていられず玄関にしゃがみ込みました。

しばらく身体を横にしてじっと耐えていましたが、我慢も限界となり、とりあえず神棚まで這うようにして辿りつき、手を合わせて拝みました。しかし心当たりをいくつか拝むもののスッキリしません。あまりの痛さに耐えきれず、ついに白龍様の助けを借りることとなりました。

すると白龍様から返事が届き、すぐさま読んでみると、今回の痛みの原因は、なんと予想だにしなかったことだったのです。

その返事には、ウォーキングに出かけた夫が異界へ入り込んだということ、その際そちらの世界のものを一緒に連れてきたということが書かれていました。それと同時に成仏していない野良猫の霊もついてきたということでした。

そうと分かれば急いで神棚を拝み、守護神様にお力添えいただき、おかげさまで痛みと怠さが徐々に和らいでいきました。

それにしても夫はどうやって異界へ足を踏み入れたのでしょう。異界とは私達の住むこの空間のすぐ近くにあるのか、それとも微妙に重なって存在するのか? “異界”と言うと時空の歪みの不思議な空間とか、SFに出てくるような見たこともない景色が頭に浮かびましたが、夫が何かの拍子に足を踏み入れたのは、私達が生活している日常風景と同じ町並みがあって、まさか自分が違う空間に居るとは気づかない世界だったようです。普段と違ったのは、数えきれないほどの野良猫が次々に現れ、いつの間にか一匹残らずいなくなったことだけ。

この出来事があってから、夫はしばらくその界隈を避けてウォーキングに出かけていましたが、最近またもとのコースに戻して歩いています。ただ今日に至るまで一度も野良猫を見ていないそうです。

青龍

さまざまな体調不良や痛みをお持ちの方、ご縁ある方のお役に立つことができれば幸いです。

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