我が家の庭に顔を見せてくれる野良猫のミィは、耳が桜カットの地域猫です。警戒心が強くて忍耐強く、決して人間に媚びない猫です。人が近くにいる時は床下の奥に身を潜め、何時間でも辺りの様子をじっと窺っています。そして人の気配が無くなると周りを警戒し、用心しながらそーっと床下から出てきます。もともとの野良猫なのか捨て猫なのかはわかりません。
酷暑の夏も極寒の冬も、季節を問わず日々食べ物を探し、外敵に襲われないよう自分の身を守って生きてきたのでしょう。時には人間に追い払われたり怒鳴られたりもしたでしょう。飼い猫のように人に抱かれたり、撫でられたり、甘えたりなんてこととは程遠く、人間は怖いものだったと思います。
実はお恥ずかしい話ですが、かく言う私もミィを追い払った一人でした。
ある日ちょっとしたきっかけがあり、それ以来ミィとの距離が少しずつ近くなりました。ずいぶん時間がかかりましたが、今では毎日やって来てひなたぼっこをしたり昼寝をしたり、ごはんを貰う時は小さな声でニャーと鳴いてくれます。
そんなミィですが、その日は明らかにいつもと様子が違いました。普段はごはんの用意をする間にソワソワとドアの前で待ち構えているのに、少し離れた場所からじっとこちらを見ているだけで器を出しても動きません。更に好物の煮干しを見せても反応しません?? 主人も”目が虚ろで元気ないな”と言い、”具合悪いんじゃないか?”と心配そうでした。
その後ミィの姿が見えなくなり心配していると、物置の陰で丸くなってグッタリしていました。いつも人間が近づくとぴゅーっと逃げるのに、顔を少し持ち上げただけで身体を丸めて頭を埋めてしまいます。若い猫ではなさそうなので野良猫の寿命を考えると最悪の事態も頭に浮かびましたが、捕まえて病院へ連れて行くことは難しいだろうと、しばらくそっとして様子を見ることにしました。
何とかミィに元気になって欲しいと思ったそんな時、ふと神技療法が猫にも効くのか試してみたくなりました。ただ、少しずつ私達に慣れてきたものの身体には触らせてはくれないので、離れた場所からやってみるしかありません。それにしても、これほど具合の悪いミィがわざわざ自分のねぐらから我が家にやってきたのも不可解でした。もしかして看病して欲しかったのかなぁと勝手に思いながらも、とりあえず離れたところから遠隔?で施術をしてみることにしました。
神様を拝みながら少し離れた場所から遠隔で施術を始めましたが、ミィの姿は物置の陰で見ることはできません。さぁ、どうなるか、、、
少し時間を置いてからミィが少しでも元気になっていることを祈りながら庭を見ると、さきほど置いた小さな煮干しが無くなっていました。もしかして? 動きはゆるやかでしたが、ミィが物置の陰から出てきたのです。まだ少しぼんやりしている様子でしたが、ゆっくり歩いてドアの近くまでやって来ました。ミィが歩いているよ~!と主人を呼んできて、ごはんの器を出すとカリカリ食べ始めました。先ほどまでの状態を思うと信じられないようなことですが、起き上がってゆっくりですが自分の足で歩き、ごはんを食べ、夕方になるといつの間にかミィはねぐらへ帰って行きました。
ただ一つ気掛かりなのは、快方へ向かったものの明日もこのまま良くなってくれているかどうかです。不安と期待が入り混じる中、翌朝ドアの前に座っているミィを確認して心から安堵しました。そして朝ごはんを食べるミィに怪しまれないよう、直接身体に触れずに再度遠隔で施術を試みました。
それ以降もミィは少しずつ元気を取り戻し、庭にやって来ては遊んだり昼寝をしたり、野良猫らしい日常を過ごしています。
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